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瓦礫反対派でも分かる放射線の基礎知識

瓦礫反対派があまりに放射線のことを知らないので、基礎知識をまとめました。

はじめに明言します。僕は放射線の専門家ではありません。
高校大学の物理で学んだこと、反核反原発運動で得た知識、そして最近ネットで知ったことが中心です。
間違いや新たに改訂されたことなどあるでしょう。
ご指摘、訂正などありましたらお寄せください。

語句の定義
放射能:放射線を出す能力 単位Bq
放射性物質:放射線を出す物質
放射線:αβγ線と中性子線、X線を加えることもある。X線とγ線は電磁波ですが、他は電子や中性子などの粒子です。
放射性同位体:物性は普通の原子だが、放射線を出す放射性物質
線量:放射線の量
線量等量:放射線の生物に対する影響を加味した量 単位Sv


放射性物質
個別の物質ではなく、ひとつの物質で放射能があるないなどがあります。
セシウムには放射能を持つ放射性セシウムの他に、放射能がないセシウムもあります。
人体を構成する物質の炭素にも放射性同位体があり、放射線を体内で放出しています。年代測定に使われるなど、考古学では基礎知識です。
つまり物質の性質と、放射能の有無は別なのです。
「放射性物質に敏感」などあり得ません。水を構成する水素にだって放射性物質があるんです。

放射能汚染
言葉として成り立ちません。
放射線を出す能力を他に与える例など、宇宙からの中性子線で炭素原子などが放射性同位体になるくらいしか、僕は知りません。
一般的には放射性物質が付着、あるいは取り込まれる状況を差して「放射能汚染」と表現しているようです。
中には「放射線を浴びた人」を「放射能に汚染された」と差別する人もいます。しかしそれは「レントゲンを撮った人」を差別するくらいバカらしい真似です。

人工と天然(自然)
放射線は上記したように5種類しかありません。
「天然(自然)の放射線は安全だが人工は危険」なんてことはありません。
人体に与える影響は放射線の種類と線量、それだけで決まります。
天然(自然)が安全なら、原発の核燃料のウランは天然(自然)だから安全となります。僕ならすぐ逃げますけど。

被曝
放射線を浴びること。
地球上に放射線がない場所などありません。
人間の体内にも炭素の放射性同位体などの放射性物質があります。体重60kgの人で放射性炭素の放射能は4000Bqです。引用1
生物は放射線がある中で生まれ、進化してきたのです。放射線への耐性は元々あります。
被曝は特別なことではありません。

内部被曝
「内部被曝は外部被曝の600倍」との風説が流れています。
でも人体に与える影響は放射線の種類と線量、それだけで決まるのです。
内部被曝の場合、放射性物質が残留するため被曝時間が長くなることはあります。ですが放射線は蓄積されません。長時間あろうが、全体の線量が高まらなければ問題ありません。
外部被曝との大きな違いはα線の影響です。紙一枚で遮断されるα線は、外部被曝の場合はほとんどが服に遮られて皮膚に届きません。α線は最初に当たった物質で遮断される替わりに、そこで全エネルギーを出し切ります。そのため同じBqでも他の放射線よりSvの値は高くなります。内部被曝だと、外部被曝では影響が少ないα線の影響が高まります。
それ以外は外部被曝との差はありません。誰が言い出したかは知りませんが、600倍の数字が独り歩きしていますね。

放射線障害
放射線を浴びることで健康を損ねること。
急性放射線障害(早発性放射線障害)と晩発性放射線障害とに分かれる。
事故当時現場にいた作業員ですら急性放射線障害は発生していないので、以後も発生はしないでしょう。
晩発性放射線障害が100mSv/年以上で起きることは知られています。引用1
しかしそれ以下になると他の要因の影響に隠れて、検出不可能なのです。

放射線とガン
「放射線はガンの原因になる」と主張される方は大勢いますが、他の要因に比べてそれほど問題視することはないと思います。
国立がん研究センターの研究によると、放射線と他の要因とでガンのリスクは下記となっております。

1000-2000mSv (1.8) 【1000mSv当たり1.5倍と推計】
喫煙者 (1.6)
大量飲酒 (450g以上/週)※ (1.6)
500-1000mSv(1.4)
大量飲酒 (300-449g/週)※ (1.4)
200-500mSv (1.19)
肥満(BMI≧30)(1.22)
やせ(BMI<19)(1.29)
運動不足 (1.15-1.19)
高塩分食品(1.11-1.15)
100-200mSv (1.08)
野菜不足 (1.06)
受動喫煙<非喫煙女性> (1.02-1.03)
100mSv未満 検出不可能
(単位は倍)引用2

100mSv未満の被曝については仮定を元に線を引く人もいます。「しきい値」なしの直線仮説です。
僅かな放射線でもガンが発生したと主張する人はいます。
しかし上記のように他の要因が大きいのに、果たして放射線が原因と断言できるでしょうか?
他の要因から完全に隔離された人でなければ「原因が放射線」だとは言い切れないはずです。
科学の場合「分からないことは分からない」が正しいあり方なのです。
分からない部分に線を引くのは政治家の仕事です。

世界中の放射線の安全基準は科学は踏まえていますが、すべて「政治的な数値」です。

引用1 国立がん研究センター http://www.ncc.go.jp/jp/shinsai/pdf/shiryo2.pdf
引用2 国立がん研究センター http://www.ncc.go.jp/jp/shinsai/pdf/cancer_risk.pdf

追記1:今話題のセシウムの放射線の強さはこの程度です。
1 mの距離に1.00 MBqの線源があった場合、ガンマ線によって1日に1.9 µSvの外部被曝を受ける(wikipedhiaより)
年間で800μSv未満です。しかも放射線は距離の2乗に反比例して弱まります。
何キロも離れた場所でのことを、それほど気にすることはないと思います。
経口で10000 Bqを摂取した時の実効線量は0.13 mSvとされる。(wikipedhiaより)
基準値 一般食品:100Bq/kg 飲料水:10Bq/kg
基準値ぎりぎりの食品を食べ続けても、健康被害はかなり難しいですね。

追記2:放射線防護服
誤解されている人が多いですが、あんな布一枚で防げるのはα線だけ。ほとんどの放射線は素通しです。
あれは服に付着した放射性物質を外に持ち出さないように着るものです。
内部被曝を防ぐためにガスマスクしていますが、もちろんあれでもα線以外は防げません。

追記3:「瓦礫は危険だ」とする瓦礫反対派が平成24年5月23日、北九州市への搬入に際し妨害を行いました。彼らの中にはなんと妊婦までいたのです。「危険なほど放射線が出ている」「子供に影響が出る」という主張からしたら、信じられない行動です。当人がその気でも、普通なら周りが止めますよね? それさえない。つまり瓦礫反対派は「瓦礫が安全だ」と思っていることの証拠です。


追記4 LNT仮説:低線量放射線の影響についてはよくわからないが、影響があると考えておいた方が安全側だという考え方に基づいたもので、科学的に解明されたものではないことから「仮説」と呼ばれています。(放射線中央研究所)http://www.denken.or.jp/jp/ldrc/study/topics/lnt.html