2015年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック

« 反日ブロガーJSF氏は韓国人(再投稿) | トップページ | いかに姿勢が大事か、骨身に染みました »

ガールズ&パンツァー「説明します!(装甲編)」

初心者向けに戦車の解説をします。
自分もさして練度は高くないので、突っ込みどころがありましたらよろしくご指導ください。

戦車を定義すると「無限軌道(履帯)で走行する直接戦闘用装甲車両」ですので、戦車と装甲は切り離せません。

「装甲って鉄板じゃん?」

などと思わずご一読ください。

現用戦車は軍事機密の塊である複合素材の装甲を張り巡らせていますが、戦車道で使われる戦車(第一次大戦のデビューから第二次大戦終結まで)は鋼鉄の板(鋼板)や鋳鉄で装甲しています。
基本的に防御力では鋼板装甲が、大量生産やコストパフォーマンスでは鋳造(鋳鉄の)装甲が勝っています。
各国は国力や工場施設、工員の技量などを鑑みて戦車の防御を考えました。
戦車の防御力は装甲の厚さだけでなく、形状も深く関係してきます。
当時の戦車を語るうえで外せない傾斜装甲については「不肖秋山優花里の戦車講座」で解説していますのでBD/DVDをご覧ください。
ここでは装甲の素材、鋼板と鋳鉄について加工法を交えて解説します。

1 鋼板装甲

鋼鉄(steel)は鉄(iron)と炭素(carbon)との合金です。
鉄より粘り強く鍛えることで強度を増すことができます。
強化法には圧延、鍛造、表面加工など様々な方法があります。
強化した鋼板を接合する方法で2つに分類されます。
リベット接合と溶接接合です。

○リベット接合
鋼鉄の枠(フレーム)に薄い鋼鉄製の板(鋼板)をリベットで留める工法です。
2話で38tを見た武部殿が「ビス」と表現した、丸い頭のぼつぼつがリベットです。
身近ではジーパンのポケットを留めている金具がリベットです。
戦車の装甲を留めるリベットはもっと長く、ボルトとナットを一本で兼ねるものだと思ってください。
裏側から差し込んだリベットの先を熱し、ハンマーなどで叩き潰して両側から挟み込むことで鋼板を固定します。
潰した結果が丸い頭なのです。
ボルトナットとの違いは一度固定したらリベットを切断するしか分離できない点です。
この工法は元祖戦車であるイギリスのマーク1戦車から第二次大戦初期の戦車で使用されました。大洗女子の戦車では38tと89式が全体に、M3中戦車では車体で採用されています。

でもこのリベット接合には大きな弱点がありました。
リベットに被弾すると、装甲は無事でも千切れたリベットが車内を跳ね回ることがあるからです。
装甲を貫通できない砲弾でもリベットに当たると乗員が死傷してしまうので、第二次大戦が始まると次第に廃れてゆきます。

○溶接接合
鋼板同士をつき合わせて、溶接棒を溶かしながら部材を一体化させる工法です。
イメージ的には半田付けに近い工法ですが、溶接棒だけでなく部材も一緒に溶かして一体化する点が違います。
鋼板が厚ければ枠は不要(ティーガーなど)となりますし、一体化されるので接合部の強度が下がることもありません。
ドイツ戦車はほとんどこの工法でした。
欠点と言えば溶接には熟練の技術と手間暇がかかることです。

鋼板は板ですから、端をつなぎ合わせて組み立てれば4号のような箱形の戦車となります。
でも角をいちいち溶接やらリベット打ちをしてしたら手間暇とコストがかかります。
そこで鋼板を曲げるプレス加工という手法が採用される場合があります。
凸と凹の金型に挟んだ鋼板を圧力をかけて押し曲げるので、基本的にかまぼこ型となります。
型を工夫すれば複数箇所曲げることも可能です。
M3、M4中戦車の車体前面の曲面は恐らくプレス加工されたものでしょう。
しかし50ミリもの鋼板を曲げるプレス機は非常に大型となるうえ油圧を駆動させる電力消費も大変なものです。
工業力がある国でなければ大型プレス加工はできません。

2 鋳鉄装甲

鋳型(型枠)に溶かした金属を流し込んで一体成形する加工を鋳造と言います。
溶かしたプラスチックを型枠に流し込んで成型するプラモデルの生産と原理は同じです。
鋳造で造られた鉄は鋳鉄と呼ばれますが、純粋な鉄ではなく炭素やケイ素などとの合金です。
鋳造装甲はウサギさんチームのM3中戦車の砲塔に見られる曲面が特徴(逆に平面は不得意)です。米ソ戦車の砲塔は鋳造が主流でした。
短時間で複雑な形状が造れるため大量生産に向いています。
溶接工ほどの熟練技術も不要でコストパフォーマンスにも優れています。
ただし、大きな部品を鋳造をするには大きな鋳型を固定したり上下させたりする必要があるため、設備が大型となり初期投資が莫大となります。
車体を丸ごと鋳造するとなるとアメリカくらいしかできず、作中ではサンダース付属高のフラッグ車を務めたM4A1くらいです。
(プラウダ高のJS2は車体前部だけが鋳造装甲です)

鋳鉄は硬いのですが伸びにくく、鋼板に比べると割れやすい点が装甲として不利です。
製法や素材の性質の都合で圧力を加える強化はできず、表面処理も制限されます。
つまり同じ厚さでは鋳造装甲は鋼板装甲ほどの防御力は得られないのです。
さらに硬いことは「脆さ」となります。
脆い装甲に砲弾が命中すると、貫通されなくても衝撃で内面が剥離して飛散しやすくなります。
ただでさえ重い戦車が、鋳造装甲で鋼板装甲並みの防御力を求めるとさらに重くなります。
この辺は「何を優先するか」にその国の戦車に対する姿勢が出てきます。

また溶接ほどではないにせよ技術力が必要で、特に素材が悪いと悲惨なことになります。
良質ではない鋳造装甲の代表例が、ソ連のT34中戦車です。
初期のドイツ軍をパニックに陥れた防御力が売りでしたが、鋳造装甲の砲塔は内面剥離しやすく砲塔乗員の死傷率が車体乗員を上回りました。
戦車は車体より砲塔の方が防御力は高いのが常識です。
車体を隠して砲撃(11話で大洗戦車が陣地に入った例)するなど一番敵に晒す部分が砲塔だからです。
これには理由があります。
スクラップを材料にしたため、鋳鉄に適さない素材だったうえに材質も不均一だったのです。
鋳鉄本来の強度が得られないことに加えて内部に気泡(巣)を残した装甲が生産されました。
極端に表現すればT34の鋳造装甲は「スポンジ状」だったのです。
このため「ドアノッカー」とドイツ軍が見捨てた37ミリ砲でも砲塔は内面剥離する危険がありました。
車体はアメリカから輸入した鋼板を溶接していたので頑丈でした。
ドラマCDでアリサにカチューシャがやりこめられたように、T34の高い防御力はアメリカの助けがあったから実現できたのです。
もっとも素材の加工不良までは勘案されないでしょうから、プラウダ高のT34はカタログ通りの防御力で判定されたことでしょう。

長文お付き合いくださりありがとうございました。
ガルパン観賞の一助になれば幸いです。

« 反日ブロガーJSF氏は韓国人(再投稿) | トップページ | いかに姿勢が大事か、骨身に染みました »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、お久しぶりです。
ヒーリングタイムの森田です。
私も、3月で定年退職。4月から、働かずに年金生活者として、のんびり、暮らしております。
実は、今、新潮社から発売中の「新潮45」5月号182ページからに私、嵯峨氏、瑞江の記事が掲載されております。機会があれば、ご覧いただければ、幸甚です。
葵様も、体調は、いかがでしょうか。無理をせずに、作家活動に、お励み下さい。
応援しております。

森田さん、ありがとうございます。
本当にありがとうございます。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/548353/59157608

この記事へのトラックバック一覧です: ガールズ&パンツァー「説明します!(装甲編)」:

« 反日ブロガーJSF氏は韓国人(再投稿) | トップページ | いかに姿勢が大事か、骨身に染みました »