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ガールズ&パンツァーの戦車が凄い

ガールズ&パンツァー、往年のミリオタには過ぎたご褒美な作品です。
戦車好きで良かった。

戦車とは「履帯で走る装甲戦闘車両」のことです。
履帯のことをよくキャタピラーと呼びますが、これはキャタピラー社の商標なんです。
車輪で走る装甲戦闘車両は一般的に「装甲車」と呼び、履帯で走っても直接戦闘を目的としない車両は「兵員輸送車」とか「自走砲」などと呼ばれます。
最近は歩兵戦闘車両などがありますが、ガルパンの世界は1945年までの戦車を扱うので割愛。

この作品が、戦車マニアの層が一番厚い第二次大戦の戦車を選んだ意味は大きかったと思います。
単に大規模な戦車戦が多かっただけではなく、この時代に一番戦車が進歩したからです。 陣地を突破するための歩兵支援車両として生まれた戦車が、地上戦の主力へと用法が確立するのも第二次大戦です。

戦車の誕生は第一次大戦でした。
当時は互いに塹壕という溝に兵隊が隠れて、攻めてくる敵を機関銃で撃つなどという「待ちの戦い」でした。
戦線は膠着状態となり「西部戦線異状なし」という映画の題材ともなりました。
そんな中、イギリスが敵陣を突破するために履帯で走る装甲車両を投入しました。
これが戦車の元祖マーク1戦車です。 当時は極秘に開発していて「水を運ぶタンク」としていたため、英語で戦車のことをTANKと呼ぶようになりました。
タイトルにあるパンツァーはドイツ語で、かつては鎧も指しましたが今では戦車だけを意味します。

デビュー当時の戦車は速度も遅く装甲も薄かったので、通常の大砲で撃破することは可能でした。
しかし戦車が高性能になっていき、速度も出て装甲も厚くなると大砲の優位性も下がります。
戦車兵は装甲の中、対して大砲を操作する砲兵たちはむき出しだからです。
当時の砲弾は内部に爆薬を詰め、命中した所で爆発して爆風と破片で敵兵を殺傷する「榴弾」が主流でした。
でも爆風などは装甲に阻まれてしまいます。
そこで戦車を撃破するには硬い金属を高速で撃ち出し、運動エネルギーで装甲を貫通、車内で飛び跳ねた砲弾で乗員を殺傷する「徹甲弾」が使われました。
榴弾の場合は中に詰める爆薬が多い大口径の大砲が威力がありますが、運動エネルギーは速度に依存するので口径が小さくとも初速が速い大砲の方が有利です。
そんなわけで戦車を撃つ大砲は小口径で長砲身の大砲が選ばれました。
砲身内での加速時間が長い長砲身の方が初速を得られるからです。

それでも戦車は自在に動けるわけで、人力もしくは馬で引く大砲では対応しきれません。
そこで「戦車を倒すには戦車が必要だ」との認識が広がるわけです。
ですが第一次大戦は先に戦車を投入した英仏が勝利することで、戦車同士の戦いは第二次大戦までお預けになります。

戦車で勝利した英仏は敗戦国のドイツに戦車の保有をベルサイユ条約で禁止しました。
ドイツ以外の各国は、第二次大戦までの間様々な戦車を開発しました。
戦車のあり方についてまだ手探りだったからです。
所期の目的である陣地を突破する歩兵支援車両。
機械化した騎兵。
陸上戦艦。
中ではドイツのグデーリアンが「戦車を主力とする」という構想が先進的でした。
戦車の保有を禁じられたドイツはソ連で密かに研究開発をしました。
その結果誕生したのが、対戦車戦をメインとした主力戦車Ⅲ号戦車と、榴弾による支援を目的とした支援戦車Ⅳ号戦車でした。

世界中で色々な戦車が開発されましたがが、搭載する大砲で大きくふたつに分けられます。

徹甲弾の強い小口径(37〜50ミリ)長砲身の対戦車用戦車と、榴弾の威力が強い大口径(75ミリ以上)を搭載した支援用戦車です。
さて、大洗女子学園の当初チームの5台を見ますと以下の通りです。
主人公(あんこう)チームのドイツⅣ号D型が75ミリ短砲身の支援用戦車。
生徒会(カメさん)チームのチェコ38t戦車が37ミリ長砲身の対戦車用戦車。
一年生(ウサギさん)チームのアメリカM3は上記の双方の大砲を搭載したハイブリッド型。
バレー部(アヒルさん)チームの日本89式中戦車は支援用戦車ですが、57ミリ砲では威力不足です。
歴女(カバさん)チームのドイツⅢ号突撃砲だけが75ミリ長砲身で、唯一の火力です。

Ⅲ突以外は第二次大戦初期に登場する戦車で、脆弱と言わざるを得ません。
ですが主人公みほが乗る戦車をⅣ号初期型にしたのは大正解だったと思います。
なぜならⅣ号戦車は改良を続けて開戦から終戦まで戦い抜いた、ドイツ軍の主力だったからです。
あんこうチームの戦車の強化は、そのまま第二次大戦のドイツ戦車の進歩なのです。

戦争が始まると、ドイツ軍の主力戦車であるⅢ号はたちまち火力不足に直面します。搭載した37ミリ砲では英仏の重戦車に歯が立ちませんでした。
そこで高射砲である88ミリ対空砲で撃破するという裏技が使われました。
慌てたドイツはⅢ号の主砲を50ミリにします。ところがソ連のT34には太刀打ちできません。
主力戦車のはずだったⅢ号は早々に戦力外通告を受けることになったのです。
しかし戦争は続きます。
そのため75ミリ砲を搭載していた支援戦車のⅣ号戦車の主砲を長砲身にして装甲を厚くし主力戦車としました。 他には歩兵支援用に75ミリ短砲身を搭載していたⅢ号突撃砲を長砲身にしました。

金になる戦車は売ってしまった大洗女子で、唯一の火力としてⅢ突長砲身はある意味苦肉の策ですね。
他が41年までに出来ていたのに、これだけが42年以降です。

第二次大戦初期にはバラエティに富んでいた戦車ですが、T34以後はバランスタイプの中戦車へと収束してゆきます。
ソ連のT34はその後の戦車を変えたほどの傑作で、戦争前半では文句なく最優秀戦車でした。
生まれは歩兵支援戦車でしたが、搭載した76ミリ長砲身が強力で、当時のドイツ戦車を簡単に撃破できました。
傾斜装甲を採用して軽量化と防御力を兼ね備え、ディーゼルエンジンは高出力で燃費が良く、幅広い履帯で泥濘も雪も平気でした。
しかし歩兵支援用に開発されたため、戦車戦は不得手だったのです。
砲塔が小さい二人乗りなため、車長が装填手を兼ねるので発射頻度も遅く、無線機もほとんどないので連携が取れません。
専任の通信手を持つドイツ戦車にソフト面で負けていたのです。

その後ソ連は三人乗りの大型砲塔とより強力な85ミリ砲を搭載したT34/85を開発。76ミリ砲と合わせて第二次大戦で最も生産された戦車となりました。
対するドイツはⅤ号戦車パンターを開発。走攻守共にT34を上回る第二次大戦最優秀戦車でしたが、数が少なくドイツ軍の主力戦車は最後までⅣ号戦車でした。
アメリカはM3を繋ぎとして1942年にM4中戦車を大量投入。数でドイツ軍を圧倒しました。
イギリスはアメリカから供給されたM4をシャーマンとして愛用、しかし独自路線の巡航戦車や歩兵戦車の開発は継続しました。

第二次大戦で戦車は走攻守のバランスが取れた中戦車が最も活躍することが分かり、各国はそれぞれ新たな戦車を開発するようになりました。
そして今のMBTと続くのです。
重戦車はティーガーなどが有名ですが、機動力に劣り、個々の戦闘では脚光こそ浴びますが、戦争全体では主流は中戦車でした。
戦後も重戦車は研究されましたが、結局機動性が低い戦車を採用したのイギリスくらいでした。

しかし戦車が縦横無尽に活躍するシーンなんて、生きているうちに見られるとは思いませんでした。
いくらCGだって履帯とか転輪の動きなんて大変なんですよ!
製作スタッフには脱帽します。
良い物が見られました。
そしてガールズ&パンツァーが、被災地である大洗町に大きな喜びをもたらしましたことも忘れずに記しておきます。

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