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魔法の材料ございます完結しました!

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デビューから足かけ四年「魔法の材料ございます」シリーズがついに完結の運びとなりました。

ひとえに、シリーズを応援してくれた読者の皆様たちのお陰であります。

心から感謝いたします。

さて、僕は物語を書くにあたり、推敲をしません。

推敲とは国語の時間、作文の授業で習ったことでしょう。

三省堂の大辞林ではこうされています。

「詩文を作るとき、最適の字句や表現を求めて考え練り上げること」

唐の時代にある詩人が推の字にしようか敲の字にしようか悩んでいたところ、偉い詩人さんから敲がよいと教わったという故事からできた言葉です。

国語の先生は大切なことのように教えてくれました。

でも僕は物語を書くにあたって推敲なんてしません。

驚きましたか?

でも不思議なことではないのです。

なぜなら物語を書くことは、作文を書くこととは、まったく別の作業だからです。

今はどうか知りませんが、作文を書くとき僕は先生からこう言われました。

「好きなように、感じたまま書きなさい」

でも、好き放題に自分がした悪行を羅列したところで、待っているのは生活指導室です。

作文とは、極言すれば「自分がいかに良い子であるかを伝える宣伝」なのです。目的は先生のから評価を得ること。面白さなんてまったく関係ありません。

一方、物語は不特定の読者に読んでもらうことが目的です。

ひと口に読者といっても、人間が本を書棚から取りだす目的は様々です。

笑いたい人もいれば、悲劇に胸を熱くしたい人もいる。推理で知的刺激を得たい人がいれば、エロを求める人もいる。冒険にワクワクしたかったり、恋愛でドキドキしたかったり。

そして手にした本が目的に沿ったものでなければ、読者は最強の札を切るのです。

本を棚に戻す。

読者はいつでも読むのを止められます。だから物書きは、読者を引きつけるために工夫を凝らさねばなりません。そんなことが「好きなように、感じたまま」で出来るわけがない。

ましてや推敲とは詩という極めて少ない文字数を扱うのに使われる言葉です。

長編ストーリーになるほど全体の構成やキャラクターの魅力などが重要となり、一言一句の持つ重みは相対的に下がるのです。

では僕が原稿を直さないかと言ったらさにあらず。僕の改稿はハンパじゃありません。

プロットが通って最初に書いた原稿を初稿と言いますが、それを編集さんにチェックしてもらいます。

そして打ち合わせでどう直したらいいか、徹底的に話し合うのです。まとまるものもあれば、保留になるものも、ボツになるものもあります。

打ち合わせが終わったら、チェックされた原稿をディスプレーの横にぶら下げ、それを見ながら冒頭から全部書き直します。

そう、もう一度最初から最後まで全部書き直すのです。一言一句など気にしていられません。勢いで書きます。

そして出来た原稿をもう一度編集さんにチェックしてもらい打ち合わせて、また最初から書き直しです。

一本の小説を書き上げるのに、僕は最低三回は通しで書いています。

なぜそんな手間を?

人間の脳は複雑です。そして仕事にするほど文章を書いている人ならわかるでしょうが、読むときと書くときとでは、使う脳の部分が違うのです。

大量の文章を書いて脳が疲れたあとでも読書ができるのは、そういう理由です。

投稿時代、僕は書き上げた原稿を印刷して、音読しながら赤ペンでチェックし、それを見てまた書き直すという練習をしていました。

これはプロの小説家から教わった練習法です。

「素人作家が手を抜いてどうする?」

と指導され、労を惜しまず修業をしたものです。

それが今も続いているのは、プロとして僕はまだまだ駆け出しだからです。

尊敬する某有名作家さんは、そのまま校正に回せるほど完成度が高い初稿を出します。その領域に達するには、今も素人同然だと思っていなければ、とてもとても。

それに僕は書いているときにアイデアが湧いてくるタイプです。そしてそれ以上にアイデアが湧くのは、編集さんに原稿を渡したあと「しまった」と後悔するときです。

書いているうちにアイデアが浮かべば盛り込み、原稿を送付してからの後悔はメモします。そして編集さんとの打ち合わせで切った貼ったをして、脳内でもう一度構成しなおして、頭から書き直すのです。

大変だと思われるでしょうが、僕はこの改稿作業が大好きです。だって作品がどんどん良くなっていくのですよ? 原石が宝石に磨かれていく過程の楽しさは、作者と編集者だけしか知らない喜びです。

そうして第三稿あたりが外部校正を経て著者校正となります。そのときくらいですね。一言一句を気にするのは。

そのときの注意点も、いかに美辞麗句を並べるかではなく、いかに中高生がスムーズに理解できるか、です。

推が敲になったところで、物語の面白さにどれほど影響します?

それよりもわかりやすさの方がはるかに大切です。

時間を忘れて作中世界に入れることが、物語を読む一番の楽しさじゃないですか。

僕は子供の頃、そんな物語に夢中でした。

でも偉い人たちは国語の教科書に載るわかりにくい作品を褒めます。

あるとき僕の好きな物語が教科書に載りました。後半部分だけ……

物語に対する冒涜ですよ。

前半の積み重ねがあるから、後半が輝くのに。

「教科書を作る人たちはストーリーという概念さえ怪しい連中だ」と、子供ながらに理解しましたよ。

僕は文学部に行かないどころか、文学の概論さえ知りません。そうした学問を身につけた人たちが「好きなように、感じたまま」書けと言い、つまらない教科書を作っていると思うと、意味のないことだと思いまして。

僕は教科書に載るような作品なんか書きたくないし、載せてもらいたくもない。

腕が悪い調理人に、製魂込めた食材を生産者が卸したいと思いますか?

ましてや「このときの作者の気持ち」なんて、愚問など出されたくない。

僕の気持ちは冒頭から巻末まで首尾一貫「読者に楽しんでもらいたい」だけです!

とまあ、作文と物語とは、まったく次元が違う存在なのです。

どちらが良いか悪いかなどではなく、異質で相容れない存在です。

推敲に使う労力があれば、いかに読者を作中世界へ誘うか、に注いできました。

そうやって三年半続けました「魔法の材料ございます」シリーズは、いかがだったでしょうか?

読んでいるといつの間にか時間が経っていた。

そんな体験をしていただければ、作者にとってこれ以上の喜びはありません。

長い間の応援、ありがとうございました。

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コメント

シリーズ完結お疲れ様でした。
初刊から読ませていただいておりましたが最終巻にあたって初投稿させていただきます。最初はイラスト買いだったのですけど、テンポのいい物語と主人公(作者様)の一発逆転の発想力に時間を忘れて物語にのめりこむ、実に楽しい時間を過ごさせていただきました。近年読んでいたほかの作者様の物語の中でも一二を争う出来の作品だと思っています。また次の作品を出されるときを楽しみにしています。物語が終わった時の少し切ない感傷に浸りつつ、拙い文章をお読みくださりありがとうございました。

abiuro様

時間を忘れて楽しんでいただけた、それだけでもう作者冥利に尽きます。
ご愛読ありがとうございました。

完結、お疲れ様でした。
4年半、続きましたね。
嬉しい事です。
次回作が、正念場でしょうか。
期待しています。
お疲れ様でした。

完結お疲れさまでした。
ただいま、ブックビレッジで四巻まで購入させて頂きました。
今後も購入させて頂きたいです。
GAマガジンで読み返していたら、目に止まりそのまま四巻まで購入しちゃいました。

とっても面白いです。
三巻でフレイルを見つけた時はロードス島のパーンが魔法のヨロイを見つけた時の興奮が有りました。。。。

新しいシリーズも楽しみです。
お好きなお花有りますか?

ヒーリングタイム様
応援ありがとうございました。
次作がどうなるか、心機一転がんばります。

manabu様
ご愛読ありがとうございます。
ロードス島戦記は僕も大好きで何度も読み返したものです。
好きな花は桜と藤、小手毬です。

こんばんは。
もう、四巻までなんども読み返しちゃいました。
五巻の配信今月有るのかな。。。
話変わりますが、
先生は
だんじょん商店会 〜伝説の剣はじめました〜
ってPSソフトご存知ですか?
私の大好きなソフトです。
そこの商店主の特性がシャルトに似てます。
アイテムがなんだか全て解るとか。

manabu様

ご愛読ありがとうございます。
電子書籍ですと、各社さんで刊行状況が違います。
ソフトバンクと角川、Amazonさんですと、現在4巻まで。
シャープさんだと8巻まで出ています。

だんじょん商店会は興味深いですね。
PSはありませんが、調べてみます。
今後も魔法の材料ございますをよろしくお願いします。

はじめまして。完結おめでとうございます。

僕は電子書籍組ですので、4巻までで続きを待っています。
(hontoという大日本印刷とNTTdocomoのやっている会社です)
待っていたら、1/1に、なぜか別シリーズ扱いで9巻が出てしまいました。

5巻から8巻までをどうしようか、悩んでいます。

M.T.様
ご愛読ありがとうございます。
Hontoさんには本当に困りものですね。
どうしましょうかねえ。
電子書籍ならシャープさんのGALAPAGOSが9巻まで出ています。
他社さんでもよければそちらはいかがでしょうか?

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